2011年12月7日水曜日

かれんのクリスマス 開催中!

企画展「そうさく的なものの明日に」は先週土曜日で無事終了いたしました。お越しいただいた皆様どうもありがとうございました。木、金、土とあいにくの雨でしたが最終日はお客様も多く、搬出の作家の方もまじえにぎやかな締めくくりになりました。

今週火曜日から企画展三週目、「かれんのクリスマス」開催しております。
かれんメンバーさんの作品や作家さんの作品、グッズなど充実の5日間です。
クリスマスということで全体にきらきらしていて楽しい雰囲気です。

ちょっと作品をご紹介。

廣澤仁さんのマグネット(アクリルにシルクスクリーン)↓


添田亜希子さんのガラスのトリ↓


松宮硝子さんの小さな作品↓


吉澤美香さんのスノードーム↓


どれも数に限りがございますので気になる方はお早めに!

2011年12月1日木曜日

「そうさく的なものの明日に」木村彩子さんが青山七恵さんの「あかりの湖畔」の装画を担当


「そうさく的なものの明日に」展は今週土曜日12月3日まで開催しております。ご高覧ほのどよろしくお願いいたします。

さて、同展覧会に参加中の画家木村彩子さんが装画を担当した青山七恵さん最新作「あかりの湖畔」(中央公論新社)の単行本が発売されました。同作品は昨年7月より今年4月まで読売新聞夕刊で連載された小説で木村さんが挿絵を担当していました。

かれんの展覧会に参加する作家さんが各方面で活躍されているということはすばらしいですね。

連載時の挿絵の原画展を年明け(2月ごろ?)渋谷のギャラリー二モードさんで行うそうです。そちらも楽しみですね。


少し「そうさく的なものの明日に」展、会場風景。

2011年11月29日火曜日

「そうさく的なものの明日に」本日初日

かれんの三週連続の企画展第二週目、「そうさく的なものの明日に」展は本日11/29(火)より12/3(土)まで開催しています。

展覧会にはかれんの通所者と作家会わせて40名(チラシでは38名)の作品を展示しています。サイズは8号程度が主です。作品の多くは今年描かれた(作られた)もので2011年という年をどのように過ごしてきたかということが作品に少なからず反映されていると思います。参加者みなさんかなりの力作揃いで小品展ではありますが見ごたえのある展覧会になっていると思います。是非足をお運びください。平日の日中はギャラリーのあるアートかれんの活動の様子も見学できます。

少し出展作品を紹介。


杉山直子さん作品



山本祐子さん作品



水島亜美さん作品



竹植耕平さん作品



門田光雅さん作品



「そうさく的なものの明日に」

 この展覧会に出展しているのは、かれんに通所し日々絵画制作に取り組んでいる方たち、それからかれんの人たちと展覧会を通じ交流を続けている作家の方たち、またかれんのスタッフが直接知っている、あるいは作品を知っていてかれんの人たちと是非一緒に展覧会をしてほしいと思い声をかけさせていただいた作家の方たち、さらには作家の方を通じて紹介していただいた作家さん、になります。

 8坪の小さなギャラリーに40名の参加者が集いそれぞれの思いをかたちにした作品を持ち寄る。一点々々は小さくなるもののそれぞれのヒストリーを感じさせるに十分の内容が揃ったと思います。

 展覧会のタイトルは人の手による創作活動が震災後、原発事故後の世界にも、以前と変わらず在り続ける、その大切さ、存在意義を確認したいと思い付けたものです。

 何かを作ること、それが結果として作品となる。もしくはその結果を前提として物を作る。いずれにせよ創作行為は作品を完成させることが(もちろん)目的ではなくその過程で何が起こるか、どんな気持ちを呼び起こすか、どんな出会いをもたらすか、どんな未知の作用を備ええるのか、ということこそが大切ですし、そのことをある程度感覚としてそれぞれの創作者がとらえているから続けられるものなのだと思うのです。

 とは言えかたちとして作品が残されると、その時の作者の思いはそのまま、もしくは受け止められる時代の感性で、未来へ伝えられることがあるでしょう。作品は残されることで先の世界と今の世界との関係が生まれるきっかけとなるのです。

今日、行われている創作的な活動を明日に届けたい、未来に伝えたい、と多くの創作者たちが思っている事を願って。そして、出来れば人々が暮らしていて毎日の幸福を感じられる世界を築く、小さいけれど一つの力となれるように。そんな気持ちでこの展覧会を組織しました。

(2011年11月29日 かれん 天本健一)

2011年11月26日土曜日

今年描いた絵、本日最終日



かれん秋の企画展「今年描いた絵」は本日最終日です。会期が5日間と短くそのぶん多くの方に見ていただける機会も少なくなってしまいましたが、17時まで開催しております。是非お願い致します。会場風景を少し写真で紹介いたします。
右から、荒井麻理子さん、高橋大輔さん、井上実さんの作品。




手前が佐々木貴子さん、奥が金井清香さんの作品。



荒井麻理子さんの作品、「しかくさんかくせん」(2011)。

今回の展覧会は2011年3月に起った大震災の混乱の中、そしてその後制作された作品を展示しています。以下かれんスタッフ天本が寄せた文章も掲載させていただきます。




「今年描いた絵」


 今年(2011年)3月11日の午後、毎年の行事である港北区作業所連絡会の交流会コンサートが行われていました。かれんのメンバーさんたち数人とスタッフも新横浜にある会場へバスを利用し出かけて行き、山形から来たパーカッショングループ演奏を見ていた時でした。会場席である、アルミ製のひな壇が左右にゆっくりと揺れ始めました。演奏者たちも一瞬マレットを持つ手を止め周りの様子を伺います。ステージ天井から下がったいくつもの照明器具が埃の落下とともに大きく揺れだすのを見て初めてそれは地震だ、と皆が気付いたのです。

 行き交う情報や繋がらない携帯電話に不安を感じながら、迎えに来てくれたかれんスタッフの車に乗り大倉山まで戻ります。途中の道では車はスムーズに流れてはいたものの歩道には歩いている人がたくさんいます。電車、バスなどの機関は機能していない様子です。到着した大倉山の商店街は特に変わった様子がなく意外でしたが、ただ夕日がやけにきれいだったのが印象的でした。

 続く余震や津波の映像、コントロールの利かなくなった福島の原子力発電所。いつ関東も同じような地震が襲ってくるか、食糧はどうなるかと、とにかく不安な毎日を過ごしました。

 被災地では何日もかけ徐々に救援物資が届き始めました。直接被災しなかった我々も義援金や救援物資に出来るだけ協力しながらも施設の運営や地震の2日前に移転オープンしたばかりの自然食品展の営業などにあわただしく動き回り、交通機関の状況や輪番停電のスケジュールに目をこらしながらメンバーさんの家庭とも調整しながらの毎日でした。

 一カ月、二か月が過ぎ、地震で亡くなられた方の数が新聞の報道で増え続ける中、施設の毎日も徐々に落ち着いてきてメンバーたちの絵の作業も震災前のようなペースを取り戻しつつありました。そして絵を描くことが自分達の仕事であり、それを続けていくことが自分達にとってはあたりまえなのだ、と感じさせるように作業に没頭しているメンバーさんたちの姿が見られました。

 同時にギャラリーかれんで毎年秋に行う企画展に参加してくださる作家さんたちもどうしているだろうと思い、地震直後から連絡を取りあっていました。被災地へは全国からボランティアをする方たちが集まり炊き出しや救援物資の整理、がれきの撤去などに関わってきているという新聞記事が毎朝載っています。画家の仲間でもボランティア活動に参加している人も何人かいたようでした。アーティストの方でも被災地でワークショップを開くかた、チャリティを行う方、現地へ行って何かしてくる(クリエイティブな事と結び付けるようなことを思索する)など。多くの試みがあり、これからも行われるだろうと思います。

 かれんメンバーさんたちはそれぞれの震災後を過ごしてきました。地震後の日常の混乱や変化は障害のある方たちにとっては想像以上に大変なことだったと思います。その中で絵を描くことがどのように作用していたのだろうか、と今もふと考えます。作家の方たちも大きな社会不安の中、何を今すべきなのか、と考え続け、日常を過ごし、仕事をし、作品を作り続けてきたのだと思います。今年描かれた作品はそういう意味でも特別な意味を持つようになるのではないかと思うのです。これから、来年も再来年も、今後も活動を続けていくために今年も描き続けた、それが大切なことだと思うのです。


(2011年11月22日 かれん 天本健一)

2011年10月13日木曜日

告知:かれんの三つの展覧会


今年のかれんの秋冬の企画展は三つの展覧会を連続で行います。
それぞれは五日間の会期で約三週間開催いたします。

一週目は「今年描いた絵」、招待作家4名とかれん通所者4名による絵画展です。出展者たちの3.11以降の作品にスポットを当てていきます。

二週目は「そうさく的なものの明日に」と題して作家、かれん通所者38名による一人一点の展覧会。さまざまな出来事があった2011年を締めくくる意味で、さらに創作的なことが未来に向かっていく出発点としてもこの年にふさわしい展覧会として。

三週目は「かれんのクリスマス」として作家さんによるクリスマスグッズや作品に合わせてかれん通所者作品や自主製品が展示されます。

それぞれの展覧会には注目の若手の方からベテランの方まで多くの作家のみなさんの協力で開催いたします。もちろんかれん通所者のパワフルな作品も必見です!



「今年描いた絵」
2011年11月22日(火)~11月26日(土)

青木芳江 荒井麻理子 井上実 今村仁 金井清香 小林良一 佐々木貴子 高橋大輔

 今年3月に起こった大きな出来事。多くの被害をもたらした大震災、さらには原発事故。社会不安が続く中で多くの作家たちが自分たちに出来ること、やるべきことは何かという問いを今まで以上に模索した時期だと思います。そしてこの問いの一つの回答として「描き続けること、希望を持って」と思うに至った作家も少なからず居た筈です。出展する作家4名、かれんの通所者4名はそれぞれの震災後を過ごし、その中で絵を描き続けました。「今年描いた絵」は変わらぬ姿勢で今までの仕事をこれからも続けていく作家たちの作品展です。


「そうさく的なものの明日に」
2011年11月29日(火)~12月3日(土)

浅野彌弦 岩熊力也 大槻英世 尾崎大輔 門田光雅 北川裕二 木村彩子 小林悠子
さかもとゆり 下重佳世 進藤環 新堂大介 鈴木俊輔 鈴木繭子 天本健一 戸谷森
平丸陽子 宮崎直孝 村林基 山本祐子 百合草尚子 磯部涼 太田弘 牧島美帆
水島亜美 百田佳恵 田辺綾子 井桁由美子 長岡彩 木村庄兵 工藤未来 杉山直子
竹植耕平 寺田美奈 樋口まみ 渕上さおり 八城勢津子 栁まどか

 かれんの通所者と美術作家たちによるグループ展。8坪のギャラリー空間にキャリアも年齢も様々な38名が持ち寄るのは、明日へ届けたい、伝えたい作品。作者たちの自由な創作が集まり2011年という年の最後を元気よく締めくくります。


「かれんのクリスマス」
2011年12月6日(火)~12月10日(土)

木村真由美 添田亜希子 廣澤仁 松宮硝子 三好まあや 吉澤美香
大場かずみ 川戸由紀 成富幸 飛岡悠太 鈴木孝一 橋本知佳枝

 クリスマスを待ち遠しく思う気持ち、わくわくする気持ちが詰まった展覧会。絵画、版画などの平面作品、ガラス作品、オーナメント、アクセサリーなど大切な人や自分へのプレゼントに喜ばれるような作品を展示販売いたします。


◇3つの展覧会の収入の一部はかれん通所者の制作活動の資金として使わせていただくと共に「特定非営利活動法人ゆめ風基金」(大阪市)を通じて東日本大震災の被災地へ障害者支援の救援金として届けます。

会場 ギャラリーかれん
222-0037 横浜市港北区大倉山1-11-4 tel/fax 045-543-3577
artkaren@muse.ocn.ne.jp 東急東横線大倉山駅より徒歩2分

時間 10:30~18:00 土曜日のみ17:00まで
日・月曜 休み
オープニング 11月22日(火) 17:00~19:00

主催=社会福祉法人かれん 生活介護事業所アート・メープルかれん

2011年8月23日火曜日

手作り市@ギャラリーかれん



「手作り市」hand work market
2011年8月22日(月)~8月27日(土)
10:30~18:00
初日 13:00から
最終日 16:00まで

出店:
かれん(クッキー・パン・織り・紙すき)
HIKARI(木雑貨)
セサミ香房(クッキー)
四季彩館(ジャム・ケーキ)
Animo(バッグ小物)
Kei(ガラス)
boritto(飾り箱)
daizu(古布洋服小物)
mamacita(バッグ小物)

場所 ギャラリーかれん(横浜市港北区大倉山1-11-4)

東急東横線大倉山駅下車
改札を出て商店街を左方向へ
徒歩2分(横浜銀行並び、三菱東京UFJ銀行斜め向かい)

ギャラリーかれんの定期恒例企画、手作り市、今回も始まっています!
お近くにお寄りの際は是非お立ち寄りください。

2011年8月3日水曜日

みどりの風展10おわりました。井上実さん「KAITEKIのかたち」

7月30日(土)を持ちまして「みどりの風展10」が無事終了いたしました。
ご来場いただいたみなさま、どうもありがとうございました。全体の来場者数としては少なめでして、これは展覧会の広報活動に手が回っていないとうことでもありまして(展覧会を開催するたびに反省しているのですが)どうすれば今後多くのお客様に見に来ていただける展覧会を開催していくことができるのかという大きな課題がいつもあまたの上にのっかっているのです。。
そしてそのあたりの能力の(努力も)少なさを長年引きずっています(個人的に)。う~ん、全国のアーティストのみなさん、展覧会の企画者のみなさん、障害福祉関係のみなさん、何かお力添えをお願いしたいです。

さて、参加したかれんの利用者のみなさんの作品は活動を続けていく中でより充実したものなっているようです。

前にも触れたと思いますが9年前の作品と最新作とを並べてもいい意味で変化がなく、でもよくみていると熟成度も感じられ作家として、人間としての人生の中での成長を感じられるようにも見えます。

今回、展示することでそのような変化を感じていただけるような部分もあったと思います。





メープルかれんの利用者さんは少し大きめのキャンバス(15~20号)を中心に出展作を準備してきました。大きい作品は描くのが大変、とう声もありましたが、同時に広いキャンバスにのびのびと描く姿を見ていると絵のしだいとのびのびとしてきて、結果的にいい作品が多くそろったように感じました。

販売のことなんかを考えるとどうしも買いやすいサイズ、家に飾りやすいサイズとなってしまっていましたが、今回は少しそのへんをあまり気にしないようにしてみて、制作を続けてもらっていました。もっと大きいサイズにも挑戦してくれそうな人もいますので今後も楽しみですよ。

ところでみどりの風展最終日の日に、ギャラリー当番をちょっと遅れさせてもらい表参道、スパイラルガーデンで開催されていた「KAITEKIのかたち アートと技術の化学反応」展に井上実さんの作品を見に行ってきました。

井上実さんはアートかれんの企画する「絵をかく人々の集い」やチャリティ展、「みんなのアート大集合」に参加してくださる画家の方でかれんの人たちの作品も気に入っていただき熱心に見てくださる、かれんファンでもあります。

今回の展覧会で井上さんが「大きい作品を出す」とのことで以前から楽しみにしていたのです。

井上さんは長年小品サイズのキャンバスを中心に制作を続け、その自分にとっての絵画の仕事、探求すべきこと、をひたすら描くことで考え続けている方です。

モチーフとなるのは植物、小さな生物(昆虫、蝶など)部屋にある小さな情景(静物というのではなく)など。井上さんの日々を大切にし、生活を続ける姿勢がその視線に集約しているよな画面で、その中にはひと筆々々が大切に、しかも慎重にキャンバスにおかれていきます。

それは、カサっとかあるいはペタっとかいう絵筆が画布にタッチする瞬間の音が、耳を澄ますと本当に聞こえてきそうな、あるいはキャンバスに薄く溶いた絵具が白亜層にすーっと染み込んでいくときにぱちぱちと小さな泡がはじけ、テレピン油が揮発していく現象が目にみえてしまうような、そんな画質を持った作品を作っているのです。

両腕で包み込むようなサイズの作品を多く制作してこられていましたが近年、そのサイズが徐々に広がっていき(20~30号など)最近では発表はしていないもののアトリエでさらに大きなキャンバスを仕上げているとうお話を伺っていました。

そして今回の展覧会ではキャンバスをストレッチせずにロールから出したまま描く、そのサイズはけっこう大きいと聞いていたため、おお、井上さん、すごい、大胆!と思いその作品を心待ちにしていたのです。

今回出展されていた作品は一点、サイズにすると80~100号くらいあるのでしょうか、画面の隅々まで野原で草が自由に生き生きと成長している姿を描かれているとてもよい作品でした(あまり力んだ様子の絵ではなくあくまでかろやかさが全体を支配しているようにかんじました)。井上さんの小さいキャンバス画を長く見続けていた人はまずこのサイズに驚かさせると思います。

展示されている小部屋には暗幕が引かれてあり絵を照らす照明は一定時間で明るくなったり、暗くなったりしています。照明が消えてしまうと部屋の内部は真っ暗になり絵がみえなくなるのですが、同時にぼうっと光る図像が浮かび上がってくるのです。

これはキャンバス上に蛍光顔料を用いて描かれた多くの蝶や毛虫、ななふしなどの小さな生物たちの姿なのです。展覧会のメインテーマとして掲げられているアート+化学を井上さんはここで積極的に自作に取り入れています。

ちょっと、その前にふれておきたかったのは井上さんの作品にとっての色の使われ方です。井上さんのキャンバス画ではタッチの変化の具合の振れ幅が非常に細かいという特徴があるように思うのですが、そのことが同時に色彩にも作用しているのと思います。

大ざっぱな説明ですが、パレット上に練った同じ色でもナイフで厚くキャンバスにのせたときと、かたい筆の先にちょんと付けた絵具を画布に刷り込むように擦りつけるのとでは色の見え方(発色、物質感)が当然違うとうことです。これは油絵具という技法の特徴であるキャンバスへあたる光の反射が目に届くときに、色として、図像として伝達していくということと関係があります。

井上さんの絵では光がキャンバスにあたり、それが見る人の目の奥に跳ね返ってくるというあたりまえの現象が色彩の置かれ方によって、非常にドラマティックに展開されるのです。そういう意味での色彩の大切さを井上さんの絵はいつも持っているのです。

蛍光顔料を使った、いわば第二の画面(ふたつはどちらかしか見えないわけではなくその中間、両方の図像が見える瞬間もあるのですが、その場合どちらもはっきりとは見えない)ではその"色彩"という問題がはっきりと切り落とされているように見えるため、今までの井上作品とずいぶんと違った性質を持っているように感じます。蝶、毛虫、ナナフシ、ヤモリ?が無色でタッチのみで描かれているのです。これはこの作品のおもしろさのひとつなんじゃないかな、と思いました。

そして、配置(構図)です。草の情景を描いた色彩部は一つの空間を描いているように見えますが静物の画面へ移行すると一つ一つの静物はそれぞれが別の空間にいてそれが集まったように見えます。草の風景の空間と静物たちの空間は異空間のつながりのように見えます。その移行する瞬間もちょっとおもしろいんですが。

感じたことの一つは作品を作るときのサイズの問題(サイズは絵の内容を方向づける力を持っている)について、かれんの人たちの最近の制作からも感じていたことと近いことが井上さんの作品にも同じようにあったということです。

でも作家のいい(おもしろい)仕事というのは捕えどころのない、謎の部分も同時に含んでいるからこそ興味をそそるとう面があります。井上さんの今回の作品もその意図が読み取れない謎の部分も多く、逆にそこがおもしろく、今後も楽しみに思ってしまうのです。

大きな震災後、絵を描くいうことが改めてどのような意味があり、また描くということによってどんなことが出来るのかとうい問題を考えます。でも考えたからといって、その問いに答えるような言葉が浮かんでくることもなく、もんもんと過ごしてしまいそうですが、多くの絵描きが震災後もいい絵を描き続けているとう事実が元気をくれる、ということを再確認出来たふたつの展覧会でした。